露出計算ツール(露出の三角形)とは
写真の明るさを決める3要素「F値(絞り)」「シャッタースピード」「ISO感度」を入力すると、現在の露出値(EV)と、同じ明るさを保つ他の組み合わせを自動で算出するツールです。撮影シーンのEV目安を選べば「この光量なら何EVが適正か」も同時にわかるため、マニュアル撮影の練習・露出補正の学習・カメラ買い替え前のシミュレーションに役立ちます。すべての計算はブラウザ内で完結し、入力した数値が外部に送信されることはありません。
露出の三角形の仕組み
露出は次の3要素のバランスで決まります。1つを動かすと残り2つで補正しないと明るさが変わってしまうため、「何を優先するか」を最初に決めるのがコツです。
| 要素 | 明るさへの効果 | 副作用 |
|---|---|---|
| F値(絞り) | 小さい=明るい/ボケる、大きい=暗い/深い被写界深度 | ピント範囲・回折ボケ |
| シャッタースピード | 長い=明るい、短い=暗い/被写体ブレ抑制 | 手ブレ・被写体ブレ |
| ISO感度 | 高い=明るい、低い=暗い/ノイズ少 | 高感度ノイズ・ダイナミックレンジ低下 |
EV値(露出値)の計算式
EV = log₂(F² / t) + log₂(100 / ISO)
ここで F: F値 / t: シャッタースピード(秒) / ISO: ISO感度 です。EV1段の差は光量が2倍(または1/2)になることを意味します。F値・SS・ISOのうち2つを1段ずつ反対に動かせば、EVは変わらず同じ明るさが保てます。
シーン別のEV目安
| シーン | EV目安 | 適正設定の一例 |
|---|---|---|
| 晴天屋外 | EV15〜16 | F11 / 1/125 / ISO100 |
| 薄曇り | EV14 | F8 / 1/125 / ISO100 |
| 曇り | EV13 | F5.6 / 1/125 / ISO100 |
| 日陰・夕方 | EV12 | F4 / 1/125 / ISO100 |
| 室内(明るい) | EV10 | F2.8 / 1/60 / ISO400 |
| 室内(暗い) | EV7 | F2 / 1/30 / ISO1600 |
| 夜景 | EV4〜6 | F2.8 / 1/15 / ISO6400 |
等価露出の使い方
同じEVなら、F値・SS・ISOを変えても明るさは同じになります。たとえば「F8・1/125・ISO100」は「F2.8・1/1000・ISO100」や「F8・1/30・ISO25」と同じ明るさです。ボケが欲しいならF値を下げてSSを速く、動きを止めたいならSSを速くしてISOを上げる、といった判断がこのツールで一目でわかります。
撮影目的別の優先順位フロー
「3要素のどれを動かすか」で迷ったら、撮影目的から逆算するのが最短です。本ツールでF値・SS・ISOを動かすときの優先順位として参考にしてください。
| 撮影目的 | 固定する要素 | 調整する要素 |
|---|---|---|
| 背景をボカしたいポートレート | F値(F1.4〜F2.8 を死守) | SS→ISOの順で調整 |
| 子供・スポーツの動き止め | SS(1/500〜1/1000 を死守) | ISO→F値の順で調整 |
| 風景・夜景の三脚撮影 | ISO(100〜200 を死守) | SS→F値の順で調整 |
| 料理・物撮りのテーブルフォト | F値(F4〜F5.6 で全体ピント) | ISO→SSの順で調整 |
| 星空・天の川 | F値(開放) + SS(15〜20秒) | ISOで最終調整(1600〜6400) |
センサーサイズ別の実用ISO限界
「ISO上限」は機種によって大きく変わります。同じISO6400でもフルサイズとスマホでは別物です。本ツールでISOを動かすときの参考にしてください(2026年5月時点の一般的な機種の目安)。
| センサー | 常用上限 | 許容上限(ノイズ処理前提) |
|---|---|---|
| フルサイズ(35mm) | ISO6400 | ISO12800〜25600 |
| APS-C | ISO3200 | ISO6400〜12800 |
| マイクロフォーサーズ | ISO1600 | ISO3200〜6400 |
| 1インチ(高級コンデジ) | ISO800 | ISO1600〜3200 |
| スマホ(最新フラッグシップ) | ISO800 | ISO1600(ナイトモード前提) |
| スマホ(ミドルクラス以下) | ISO400〜800 | ISO1600(画質劣化大) |
手ブレ補正の段数とSS下限
手持ち撮影のSS下限の目安は「1/焦点距離(35mm換算)」。これに手ブレ補正(IBIS・OSS)があれば段数分だけ遅くできます。1段=SSを半分にできる、と読みます。
| 焦点距離 | 補正なし | 3段補正 | 5段補正 | 7段補正 |
|---|---|---|---|---|
| 24mm | 1/30 | 1/4 | 1秒 | 4秒 |
| 50mm | 1/60 | 1/8 | 1/2 | 2秒 |
| 85mm | 1/100 | 1/13 | 1/3 | 1.5秒 |
| 200mm | 1/200 | 1/25 | 1/6 | 0.7秒 |
| 400mm | 1/400 | 1/50 | 1/13 | 1/3 |
※ 補正段数はメーカー公称値ベース。実際は被写体ブレには効かないため、動く被写体には別途SSを上げる必要があります。
シーン別の失敗パターンと対処法
露出設定でやりがちな失敗を、本ツールで再現しながら回避できます。
- 室内ポートレートが暗くて手ブレ: F値を絞りすぎ(F4〜F5.6)が原因。F1.8〜F2.8まで開けば、SSを1/125以上に保ちつつISO800以下で撮れます。
- 夜景がノイズだらけ: 手持ちでISO12800を選んでいるケース。三脚を使えばSSを2〜10秒に延ばせ、ISO100〜400で済みます。
- 運動会で被写体ブレ: SS1/125のままだと動きが止まりません。SSを1/500〜1/1000まで上げ、足りない明るさはISO1600〜3200で補います。
- 料理写真の手前だけピント: F1.8で撮ると手前しか合いません。F4〜F5.6まで絞り、SSをやや遅くするかISOを上げて補正します。
- 星空が動いて線になる: SSを30秒以上にすると地球の自転で星が流れます。「500ルール(500÷焦点距離=最大SS秒数)」を目安に。
動画撮影時の180度ルール
動画では「シャッタースピード=フレームレートの2倍」が自然なモーションブラーの基準です(180度ルール)。写真と同じ感覚でSSを速くすると、動きがカクカクして不自然に見えるため、動画用の露出設定は写真と分けて考えます。
| フレームレート | 推奨SS | 用途 |
|---|---|---|
| 24fps(映画調) | 1/50 | シネマティック動画 |
| 30fps(一般動画) | 1/60 | YouTube・配信 |
| 60fps(滑らか) | 1/125 | スポーツ・スローモーション素材 |
| 120fps(スロモ) | 1/250 | 120fps→24fpsで5倍スロー |
※ SSを動かせない代わりに明るさを調整するため、動画ではNDフィルター(減光フィルター)で光量を物理的に削るのが一般的です。