「平均点85点なのに84点」が起きる理由
テストの結果を整理していて、「数学80点・英語90点なんだから平均は85点でしょ?」と思ったのに、成績表の評定平均では84点と書かれていた、という経験はないでしょうか。これは計算ミスではなく、単位数(重み)の違いを織り込んだ加重平均が使われているからです。データの個数だけでなく「1個あたりの重要度」が違うとき、単純平均は実態を歪めてしまいます。本ツールは、値と重みのペアを入れるだけでこの加重平均を即座に出します。
加重平均の式と直感
定義はシンプルで、加重平均 = Σ(値 × 重み) ÷ Σ(重み) の1本だけです。重みが大きいデータほど結果に強い影響を与え、重みが0なら結果に一切寄与しません。重みは「個数」「金額」「時間」「人数」のように、その値がどれだけの量を代表しているかを示す数字を入れます。
たとえば数学80点(3単位)、英語90点(2単位)なら、(80×3 + 90×2) ÷ (3+2) = 420÷5 = 84点。単純平均だと85点ですが、単位数の多い数学が結果を引き下げる方向に効くため、84点が「実態に近い平均」になります。
3つのプリセットで分かる使いどころ
| 例ボタン | 値 | 重み | 得られるもの |
|---|---|---|---|
| 成績(科目×単位数) | 各科目の点数 | 単位数 | GPAに近い学業成績 |
| 投資(利回り×投資額) | 各銘柄の利回り% | 投資金額 | ポートフォリオ全体の利回り |
| アンケート(評価×回答数) | 5段階評価の平均 | 回答者数 | 支店横断の総合満足度 |
このほか、店舗別の客単価×来店人数で「全店の平均客単価」、商品別の単価×販売数量で「平均販売単価」、シフトの時給×勤務時間で「実質時給」など、量と単価がセットになる場面のほぼすべてに使えます。
具体例3:投資ポートフォリオの利回り
3銘柄に分散投資しているとします。A: 利回り3%・100万円、B: 利回り8%・50万円、C: 利回り-2%・150万円。単純平均は (3 + 8 - 2) ÷ 3 = 3%ですが、これは「等額で買った場合」の話。実際の合計利益は 3万円 + 4万円 - 3万円 = 4万円。元本は300万円なので、ポートフォリオ全体の利回りは 4 ÷ 300 = 約1.33% です。本ツールに「値=利回り、重み=投資額」で入れれば、この1.33%が即座に出ます。
使い方の流れ
- 初期表示の3行に「値」と「重み」を入力します。
- 足りなければ「+ 行を追加」で行を増やします(上限はありません)。
- 「加重平均を計算する」を押すと、加重平均・単純平均・重みの合計・両者の差が表示されます。
- 用途別に試したいときは「成績」「投資」「アンケート」のサンプルボタンが便利です。
結果欄に出る「単純平均との差」は、重みの偏りがどれだけ効いたかを示します。差が0に近いほど重みは均等に効いており、差が大きいときは特定のデータが結果を強く引っ張っています。
つまずきやすいポイント
- 単位を揃える:投資額の重みを「100」と「50万円」のように単位混在で入れると比率が崩れます。すべて同じ単位(万円なら万円)で揃えてください。
- 重みは比率で効く:「30, 70」と「0.3, 0.7」と「3, 7」はすべて同じ結果になります。重要なのは絶対値ではなく相対比です。
- 重みに0を入れる:そのデータは結果に効きません。除外と同じ意味になります。
- マイナスの重みは使わない:物理的に解釈できる場面が稀で、値が反転して直感と合わなくなります。
- 個数が「重み」とは限らない:「全国平均気温」を県別気温で出すなら、重みは観測点の数ではなく面積や人口です。何を代表させたいかで重みは変わります。
関連する平均の仲間
平均には算術平均(加重平均はこれの拡張)のほかに、相乗平均(成長率の平均に使う)、調和平均(時速の平均など逆数が効く場面)、移動平均(時系列のトレンド抽出)があります。今回の加重平均は「値が量と紐づくとき」に最適で、それ以外の場面ではむしろ別の平均を使ったほうが素直です。