誤差伝播計算ツールとは
測定値とその誤差(標準偏差)を入力するだけで、和・差・積・商・べき乗・対数・指数・三角関数などの計算後の誤差を自動算出するツールです。物理・化学の実験レポート、工学の不確かさ解析、理工系学生の課題に使えます。
本ツールは測定値どうしが独立(無相関)である場合の標準的な誤差伝播公式に基づき、絶対誤差・相対誤差を表示します。
誤差伝播の基本公式
測定値 x₁, x₂, ... の関数 z = f(x₁, x₂, ...) の誤差 σz は、各変数が独立である場合、偏微分を用いて以下のように表されます。
σz² = (∂f/∂x₁)²·σx₁² + (∂f/∂x₂)²·σx₂² + ...
この式から、演算の種類ごとに次の具体的な公式が導かれます。
演算別の誤差伝播公式
| 演算 | 式 | 誤差の伝播 |
|---|---|---|
| 加算・減算 | z = a ± b ± … | σz = √(σa² + σb² + …) |
| 乗算・除算 | z = a × b ÷ c × … | σz/|z| = √((σa/a)² + (σb/b)² + …) |
| 定数倍 | z = k · a | σz = |k| · σa |
| べき乗 | z = a^n | σz = |n · a^(n−1)| · σa (相対誤差形: σz/|z| = |n| · σa/|a|) |
| 自然対数 | z = ln(a) | σz = σa / |a| |
| 指数関数 | z = e^a | σz = |z| · σa = e^a · σa |
| sin | z = sin(a) | σz = |cos(a)| · σa |
| cos | z = cos(a) | σz = |sin(a)| · σa |
| tan | z = tan(a) | σz = σa / cos²(a) |
なぜ二乗和の平方根なのか
独立した誤差を単純に足すと過大評価になります。各誤差は正負の方向がランダムに揺らぐため、二乗和の平方根(quadrature sum)の形で合成するのが統計的に正しい扱いです。この考え方は国際度量衡局(BIPM)が定める「測定の不確かさガイド(GUM)」の type A 不確かさでも採用されています。
相対誤差と絶対誤差
加減算は絶対誤差が素直に伝播します。乗除算・べき乗は相対誤差で合成するのが自然です。本ツールはどちらの場合も、結果に対する絶対誤差と相対誤差(%)を同時に表示するので、実験レポートにそのまま転記できます。
使用上の注意
- 本ツールは変数が互いに独立であることを前提にしています。相関がある場合は共分散項が必要です
- 誤差が測定値に対して大きすぎる場合(σa/a ≥ 0.3 程度)、1次近似である誤差伝播公式の精度は低下します
- tan(a) で cos(a) ≒ 0 付近(±π/2 付近)は誤差が発散するため注意
- ln(a) は a > 0 でのみ有効です