損益分岐点計算ツール

家賃・人件費・保険料など毎月一定の費用
材料費・仕入原価・販売手数料など

損益分岐点の概要・基礎知識

損益分岐点(Break-Even Point、略してBEP)は、売上高と総費用がちょうど一致して利益も損失もゼロになる地点を示す経営指標です。これを上回れば黒字、下回れば赤字となるため、事業計画の最低ラインを把握する基準として広く使われています。費用は「売上に関係なく発生する固定費(家賃・正社員人件費・保険料など)」と「売上に比例して増える変動費(材料費・仕入原価・販売手数料など)」の2種類に分け、限界利益(売上から変動費を差し引いた額)が固定費を回収できる販売量を求めるのが本ツールの中心的な機能です。新規事業の検証、値上げ・値下げの判断、損益管理など、ビジネスの数字を扱う場面で常に登場する考え方です。

計算式

項目計算式
限界利益商品単価 − 変動費
限界利益率(商品単価 − 変動費)÷ 商品単価 × 100
損益分岐点売上高固定費 ÷ 限界利益率
損益分岐点販売数固定費 ÷(商品単価 − 変動費)
損益分岐点比率損益分岐点売上高 ÷ 実績売上高 × 100
安全余裕率100% − 損益分岐点比率

例として固定費50万円、単価3,000円、変動費1,200円の商品を扱う場合、限界利益は1,800円、限界利益率は60%です。損益分岐点売上高は約833,333円、販売数では約278個。実際に月100万円売れていれば損益分岐点比率は約83%、安全余裕率は17%となり、売上が17%下がると赤字に転落するラインだと読み取れます。

使い方の流れ

  1. 「固定費(月額)」に家賃・正社員人件費・リース料・保険料など、売上に関係なく発生する月次費用の合計額を入力します。月額に揃えるのがコツで、年契約の費用は12で割って入力します。
  2. 「商品単価」に1個あたりの販売価格を入力します。複数商品を扱う事業では、最も主力となる商品か、加重平均価格を使うのが現実的です。
  3. 「変動費(1個あたり)」に、その商品を1個売るごとに発生する原価・販売手数料・梱包送料などを合算して入力します。
  4. 「計算する」を押すと、損益分岐点売上高・販売数・限界利益・限界利益率が一括で表示されます。
  5. 下部の「利益シミュレーション」に予想販売数を入力すると、月間売上・利益・利益率・損益分岐点比率まで一気に試算でき、目標設定の妥当性を検証できます。

こんな場面で使う

  • 新規事業の事業計画:開業前に「月何個売れば黒字化するか」を可視化し、市場規模と照らし合わせて実現可能性を判断します。
  • 値上げ・値下げの判断:単価を変えると損益分岐点販売数がどう動くかを試算し、値下げによる客数増がコスト回収に見合うかを検討できます。
  • 固定費の見直し:オフィス縮小やサブスク解約で固定費を下げると、損益分岐点がどれだけ前倒しできるかを定量的に把握できます。
  • 店舗・営業所の採算管理:拠点ごとの固定費と販売実績を入力し、損益分岐点比率で「健全な店舗/改善が必要な店舗」を仕分けできます。
  • クラウドファンディングの目標設定:必要資金を固定費とみなし、リターン単価とコストから目標達成に必要な支援者数を逆算するのにも応用できます。

使う前に知っておきたい注意点

  • 本ツールは単一商品モデルを前提とした参考値計算です。複数商品を扱う事業では、商品ミックスが変わると限界利益率も変わるため、主力商品ごとの試算を組み合わせる必要があります。
  • 固定費と変動費の分類は実務では曖昧な場合があります。たとえば歩合制の人件費は半固定費(準変動費)として扱われ、売上規模に応じて再分類が必要です。
  • 限界利益率がマイナス(変動費 > 単価)の場合、何個売っても赤字が膨らむ構造です。値上げか変動費の引き下げが先決で、損益分岐点は計算できません。
  • 季節変動・キャンペーン・在庫評価益などの一時要因は反映されません。決算書ベースの精緻な分析には会計ソフトの管理会計機能を併用してください。
  • 税金・支払利息は固定費に入れるかどうかで損益分岐点の意味が変わります。経常利益ベースで管理するなら支払利息も固定費に含めるのが一般的です。

用語の補足

  • 安全余裕率:実績売上が損益分岐点をどれだけ上回っているかを示す比率。20%以上あれば一般に健全とされます。
  • 営業レバレッジ:固定費比率が高い事業ほど売上変動の利益への影響が大きくなる現象。固定費型ビジネス(製造業・SaaS)で顕著です。
  • 貢献利益:限界利益と同義で使われることが多い用語。商品ごとに「いくら固定費の回収に貢献しているか」を測る指標として用いられます。

よくある質問

売上と総費用がちょうど同額になるポイントです。これを超えると黒字、下回ると赤字になります。事業計画・価格設定・撤退判断など、経営判断のあらゆる場面で基準値として参照されます。
「売上ゼロでも発生するか」が見分け方の基本です。家賃・正社員人件費・保険料・リース料は固定費。仕入原価・販売手数料・歩合給・梱包送料は変動費に該当します。歩合制人件費のように両方の性質を持つ費用は、固定部分と変動部分に分けて入力すると精度が上がります。
業種によりますが、80%以下が一般に「優良」、80〜90%が「健全」、90〜100%が「注意」、100%超は「赤字」とされます。比率が低いほど売上が下がっても赤字化しにくい体質です。安全余裕率(100%−比率)でも同じことを把握できます。
主力商品の単価・変動費で試算するか、全商品の加重平均値を使うのが実用的です。より精緻に管理したい場合は、商品グループごとに本ツールで試算し、それぞれの限界利益が固定費を回収できるかを確認します。
使えます。月額料金を「商品単価」、1契約あたりの変動費(決済手数料・サポート費用など)を「変動費」として入力すれば、必要契約者数(損益分岐点販売数)が算出できます。チャーン率(解約率)を加味した補正を別途行うと、より現実的な数字に近づきます。
粗利益は売上から売上原価を引いたもので、会計上の概念です。限界利益は売上から変動費を引いたもので、管理会計の概念。販売手数料や歩合給など「原価ではないが変動する費用」を変動費として扱うため、限界利益のほうが小さくなる傾向にあります。
いいえ、すべての計算はブラウザ上で完結します。入力された経営数値が外部サーバーに送信されることは一切ありません。